■若者と認知症
先日、AlaUna. PH が主催するイベントで、認知症紙芝居を行いました。AlaUna. PH は、フィリピンの若い世代が中心となり、認知症ケアへの理解を社会に広げる活動を行っている団体です。
フィリピンは、高齢化率がまだ一桁台の「若い国」です。
その若い国で、若い世代が認知症を社会課題として捉え、ソーシャルアントレプレナーシップの視点から取り組もうとしているのは、とても興味深いことです。
認知症は、高齢化が進んだ国だけの問題ではなく、まさに Global Issue(世界的課題)であることを改めて実感しました。
■パフォーマンスは環境で決まる
イベント会場は大学構内の講義ホールでした。
パフォーマンスの質は、環境整備に大きく依存します。参加者が20名を超えると紙芝居台だけでは内容を届けられないため、プロジェクターも活用します。さらに、動画や音楽も使うのでサウンドシステムも必要になります。
事前に確認していても、設備不良は日常茶飯事です。せっかくのパフォーマンスも、環境が整っていないだけで質が落ちてしまうことを何度も経験しました。そのため、今では必要な機材はすべて自前で用意するようにしています。
不測の事態が起きても、バックアップは自己責任で行う。
その覚悟を持つことの大切さを、フィリピンでのイベント行脚を通して学びました。今回はきちんと準備が整っていて、よかったです。


■情報爆速時代
参加者は100名ほどで、そのほとんどが大学生でした。
ショート動画全盛期で、つまらないと思えばすぐにスワイプする、そんな情報爆速時代の今、大学生の関心を1時間集め続けるのは至難の業です。しかもトピックは「認知症」です。
舞台に立つとよく分かりますが、観客が退屈しているかどうかはすぐに伝わってきます。その素直なリアクションも、フィリピン人の良いところだと思っています。
もちろん、私も悲しい道化師を演じ続けているわけではありません。毎回、自分なりに改良を重ね、少しずつチューニングしてきました。
外国人というハンデがある中で、自分の強みは何か、どうすれば伝わるのか。その問いに向き合い続けてきました。
聞いてもらえなければ、想いは届きません。
■1%ずつの改善
毎回1%ずつ、パフォーマンスが向上している手応えはあります。そして今回のイベントで、ようやく臨界点を超えた気がしました。
大学生が、私の話を聞いていたのです。
チームメンバーにもフィードバックを求めたところ、「They listened to you(彼らはちゃんと話を聞いていた)」と言ってくれました。
クイズを出したり、動画を見せたり、お菓子を配ったりと、あの手この手で工夫を重ねて、ようやく彼らの貴重な60分を獲得できるようになりました。


■ボルテスV がつくった一体感
紙芝居の後には、認知症予防体操として、昔日本で流行した「フリフリグーパー体操」を行いました。
身体を使ったエクササイズを入れることで、気分がリフレッシュし、再び聴衆の関心を引きつけることができます。
ここでも少し工夫をしています。
最初は、日本のお年寄りに人気のある曲「青い山脈」に合わせて脳トレ体操を行います。そして次の曲は、フィリピンで有名な日本のアニメソング「ボルテス V」です。
私自身は ボルテス V を観たことがなかったのですが、フィリピンでは国民的な人気アニメだそうで、老若男女問わず多くの人が知っているようです。
大学生も、この曲が流れた瞬間に一気に盛り上がり、会場の一体感がぐっと高まりました。
認知症紙芝居からの「ボルテス V &フリフリグーパー体操」は、今後のテンプレートになりそうです。
たとえ他の国であっても、日本のアニメソングと脳トレを組み合わせることで会場が盛り上がる。そんな現場の知恵を授かりました。

■日本の介護を世界へ
今回のイベントで、私もようやく自信がつきました。目指す山はまだまだ高いですが、情熱を注ぐ対象があるのは、幸せなことだとも思います。
フィリピンで着実に実力をつけながら、日本の介護を世界に届けていきます。
