フィリピンでの生活

利用者と介護士の未来のカタチ

先日、National center for Geriatric Health (国立老齢医学センター)のデイケアサービスでイベントを開催しました。内容は①私の奥さんが所属しているコーラスサークルの演奏会②私の息子の『一生餅』の行事です。かなり私的な内容のイベントを開催させてもらいました(笑)それでもありがたいことに、デイケアサービスに通うおじいさん、おばあさんたちはいつも私の開催するイベントを楽しみにしていてくれるので嬉しい限りです。皆さんの期待に応えるべく、当日は早起きして巻きずしをフィリピン流にアレンジして作りました。

まずは、コーラスサークルの演奏会です。

『茶摘み』の演奏では、利用者も一緒に参加して手遊びをして盛り上がりました。フィリピン人は本当に盛り上げ上手ですね。

そして、次は我が息子の『一升餅』です。なにがなんだかわからない状態で、1.8キロものお餅を括り付けられます。

今回は『一升餅』に、『選び取り』も併せまして、我が子はお餅を背負いながら、将来を占う職業を選ぶことになりました。

案の定、お餅の重さで泣きわめき、なんとか母親のいるところまでたどり着きました。彼が選んだのは『医者』をあらわず聴診器でした!ただ、選んだというよりは倒れ込んだところにたまたま聴診器があり、それを握っただけです(笑)彼が将来選ぶ仕事は、今の世の中にはない仕事かもしれませんね。

さて、コーラスも息子の行事も大いに盛り上がり、食事の時間になりました。一升餅で使ったお餅は、きなこ餅として皆さんに食べてもらいました。フィリピンにも餅菓子があるので、なじみがあり、大人気でした!私の巻きずしも喜んでもらいました。

やれやれ、イベントも大成功で、妻も喜び、デイケアサービスの皆さんも喜びで、これにて任務完了と私も胸をなでおろしていました。すると、1人のおばあさんが『この風呂敷を使ってもいいか』と私に尋ねてこられました。〝何に使うのかな?〟と様子をうかがっていると風呂敷を床に敷いて、他のおばあちゃん達に手招きしながら声を掛けています。しばらくすると、ぞくぞくとおばあちゃん、おじいちゃんたちが風呂敷の周りを踊りながら回りだしました。〝日本の盆踊りのような感じなのかな~〟と微笑ましく見守っていると、次から次へと風呂敷めがけてお金を投げ入れています。みるみるうちにお金が風呂敷にたまっていきました。その様子を撮った動画がこちらです↓

フィリピン人のおばあちゃんに招かれてコーラスサークルの日本人のみなさんも輪を囲んで踊りだしました。そして、踊りが終わった後に、風呂敷を借りに来たおばあちゃんが、集まったお金を風呂敷に包んで私のもとに持ってきてくれました。

『Happy Birthday Aki(息子のニックネーム)』といって風呂敷を渡してくれたのです。

デイサービスに通うおばあちゃんもおじいちゃんも年金?暮らしのはずでそんなに生活に余裕があるとはないかと思います。それなのに、こうやって息子のために『プレゼント』してくれるのは本当にありがたいことです。先日は、そのお金を使って息子に誕生日プレゼントを買いました。

フィリピン生まれの日本人の息子は、日本人からもフィリピン人からも1歳の誕生日をお祝いしてもらい、本当に幸せ者です。私がデイサービスの通うおばあちゃん、おじいちゃんに『プレゼント』をする予定が、それ以上の『プレゼント』をみなさんから頂きました。こころとこころが通じ合った素敵な体験をさせていただきました。

利用者と介護士という立場ですと、『サービスを与える側』と、『サービスを受ける側』という構造になりがちですが、介護業界における未来の利用者と介護士のあり方は、『相互に与えあう』関係に、パラダイムシフトしていくのではないかと考えるようになりました。

新しい価値基準で世の中を見回してみると、また違ったカタチで世界が広がっていることに気づけますね。