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価値観の変化

炎の講演家、鴨頭嘉人さんの老人福祉協議会の講演動画をシェアします。いろいろな学びと気づきがあると思いますので、是非見てみてください~!

 

 

こちらの講演で出てくる『価値観の変化』についての感想です。

今は時代の変化がものすごいスピードで起こっており、価値観もがらりと変わってきています。これは私自身、日常生活の中でもひしひしと感じます。特に世代間の価値観の変化は明確になってきましたね。意識的に、いろいろな年代や業界の人とお付き合いをしていると価値観の違いをものすごく感じます。世はまさに、ダイバーシティ(多様性)の時代になりました。

鴨頭さんがいう価値観の形成とは、自分自身の過去の体験だそうです。人それぞれ過去の体験は違いますよね、裕福な幼少時代だった人、貧乏だった人、両親の愛情をたくさん受けて育った人、親がいなかった人、などなど、みんな異なります。なので価値観は皆違って当然であり、その価値観を他人が変えることは出来ないのです。

ただ、個人の過去の体験は異なりますが、時代背景は共有できるため、世代によって価値観の軸は出てきます。70代以上の世代は戦争を体験しているため、価値観の軸にあるものは『食べ物』になります。物がなかった時代、最高の幸せはお腹いっぱい食べることでした。介護施設で働いていると、おじいちゃんやおばあちゃんが食べ物を大切にするのがよくわかりますよね。食べ物だけでなく生活必需品も大切に使いますね。認知症のおばあちゃんが、よくトイレットペーパーを何重にも巻いてポケットの中に隠し持っていて、それに気づかず洗濯をして、洗濯機の中が大惨事になった経験を思い出します。

そして、40代~60代の価値観の中心にあるのは『お金』です。バブル時代や高度経済成長期の日本は、お金があれば何でも好きなことが出来ました。先日、某有名メーカーで35年勤められた方から、バブル当時の話を伺いました。本当に金回りがよく、交際費で毎月20~30万円支給されていたようです。お金を使い切ることが出来ず、社員同士で飲みに行き、帰りは会社からタクシーのチケットが出たようです。朝の満員電車の中でも、みんながニコニコしていたとか。朝の満員電車でみんながニコニコしているなんて想像できますか??一生懸命働けばお金も稼げて、好きなものが買えて、みんなで遅くまで遊んで、と仕事で不条理なことがあっても、その対価として十分なお金が稼げたから、世の中楽しく回っていたようですね。

さて、20代~30代の価値観は何でしょうか。それは『自己の存在』です。生まれた時から食べ物にも不自由しない、お金にも不自由しない、で育った世代です。不自由しないことに価値を見出しません。この世代の価値観の中心は、『自分の存在を確かめること』だそうです。自分は何のために生まれてきたのだろうか、自分はいったい誰なんだろうか、自分は誰かの役に立っているのだろうか、と自己の内面について考えています。そして、自己の存在意義を確かめるために行動をします。なので、3・11の震災の時に、お金も何もない若者が全国から続々と集まって支援をしたようです。

つい先日、1カ月間インドでヨガの修業に行っていた友人が帰国しました。彼は30代前半の男性です。ものすごい体験をしてきたようで今度彼の話を聞くのが楽しみです。最近この世代の人たちがどんどん自分探しの旅をしていますよね。彼らの親の世代には理解が難しい行動なのではないでしょうか?『遊んでないでお金を稼ぎなさい』『将来のためにお金を貯めておきなさい!!』そんな声が聞こえてきそうです。

私は今年38歳になります。ちょうど『お金』と『存在』の間になりますね。どちらもよく理解できます。ちなみに私も大学卒業と同時にアメリカに行って、その後自分探しの旅?として世界一周に出ました。お金も欲しいですが、それ以上に自分の存在価値を高めること、自分の生きる軸を定めることに、価値を置いています。

介護の仕事って、まさにこれからの世代の価値観に合致すると思います。介護を通して、自分の存在を見つめ返す、生老病死を身近におくことで、自分の生まれてきた理由や使命を深く洞察する。そんなことができる仕事が介護なのではないでしょうか。

介護業界は人手不足が叫ばれていますね。そのために報酬を上げる、社会的なステータスを上げる、それはそれで大切なことだと思います。でもそれは、上の世代の価値観から出た発想なんですよね。これからの世代の心を掴むには、もっと本質的な介護のすばらしさを語りかけることなんではないでしょうか。そのために何をしたらよいかを、日本の外側から、介護業界の外側から考えて実行していきます。