テクノロジーではなく、人の技を磨く
去年、フィリピンで開催されたManaging Elderly Care(MEC)に参加しました。アジアの高齢者ケア分野を代表する国際カンファレンスで、医療・介護・行政・企業の専門家が集まり、高齢社会の課題と最新の取り組みを共有する場です。
発表の多くが、テクノロジーと介護を組み合わせた内容でした。
-
VRを活用した高齢者リハビリテーション
-
AIやデジタル技術による認知症支援
-
センサーやIoTを活用した見守り
-
デジタルヘルスや遠隔医療
世界はテクノロジーを活用した高齢者ケアへ向かっている。そのことを肌で感じました。
一方で、私は別のことも考えていました。テクノロジーの分野には、巨大なIT企業や医療機器メーカーが次々と参入しています。そのレッドオーシャンで戦うのではなく、人にしかできない価値を磨く方が、自分らしい戦い方だと思いました。
というよりも、現場上がりの自分には、アナログな技と経験しかなかったからです。
介護職人の技とは何か
日本の介護の魅力は、全国津々浦々に存在する介護職人と、彼らの技だと思います。
プロ意識、細部へのこだわり、相手を深く観察する洞察力。それをひけらかすことなく、淡々と同じ高い水準で行い続ける継続力。それがプロの技です。
私がヘルパーとして働いていた頃、非常に気難しい利用者さんがいました。おむつ交換一つでも気になることがあると、「もう一回やり直して」と言われます。
多くのヘルパーが挫折する中、その方に信頼されていたヘルパーは、文句を言うことなく、利用者さんが何を不快に感じるのかを徹底的に観察し、そのこだわりに合わせて介助を行っていました。
私はその姿を見て、「この人はプロだ」と素直に思いました。
今振り返ると、あの利用者さんは私の先生だったのだと思います。介護職の技術は、利用者さんの「こだわり」を否定するのではなく、それに応えようと努力する中で磨かれていくのだと思います。

外側から見るからこそ、見えてくるものがある
外側から日本の介護を眺めていると、たくさんの魅力に気づきます。その魅力というのは、日本国内にいるとなかなか見えてこないものもあります。代表格が、介護職人の技です。
日本Kaigoツアーでは、決して表には出てこない介護職人の技の断片を、日本に来て直接感じてもらいたいと思っています。
対象は、海外の介護事業者や介護実践者の方々です。日本の介護施設を訪問し、介護職人と直接交流することで、マニュアルには載っていない「現場の知恵」に触れていただきます。
認知症紙芝居も、ツアーに組み込みます
プログラムの中には、認知症紙芝居も含まれています。
来日前にオンラインでレクチャーを受けていただき、日本では対面で紙芝居の伝え方を学び、自国に持ち帰っていただくというプランです。
紙芝居も、ただ台本を読むだけではありません。相手に伝わるように伝える技術も、一つの「技」です。
自国に戻った後、その技を使って認知症ケアの普及活動を続けていただけることを願っています。



▼この取り組みにご関心のある方へ