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手応え30%から次へ。セブ認知症紙芝居の振り返り

今回の認知症紙芝居レクチャー、自分の手応えは30%でした。

先日、マニラからセブへ出張し、Purple Angelの認知症イベントで認知症紙芝居を行いました。先週フィリピン大学で開催されたイベントのセブ版で、早朝6時の受付から始まり、ダンス、認知症のレクチャー、最後はセブの街を歩く認知症ウォークというプログラムでした。

当日は少人数だったため、プロジェクターはあえて使わず、参加者の皆さんに紙芝居台の周りへ集まってもらい、アナログな形で行いました。

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紙芝居は小さな舞台の中で物語が進むので、話し手と聞き手の距離が近くなり、共感が生まれやすいと感じています。

ただ、始めてすぐに「今日はいつも通りにはいかない」と感じました。

早朝からのプログラムで、直前には15分以上のしっかりしたダンスもあり、参加者の皆さんもかなりお疲れの様子でした。(日本人の感覚の「ウォームアップ」とはレベルが違いました。私も一緒に踊りましたが、激しい。。)

いつものように最初に質問をして手を挙げてもらう参加型の「つかみ」も、なかなか反応がありません。そこで中盤からは具体的な事例を多く入れ、物語に入ってもらえるよう工夫しました。

少しずつ聞いてもらえる雰囲気はできましたが、終盤は参加者の疲れが目立ってきたため、内容の一部を省略して切り上げました。最後まで会場との一体感を得られないまま終わってしまいました。不完全燃焼です。

それでも、イベント後に主催者から、ご家族に認知症の方がいる参加者のお一人が「とても勉強になった」と話していたと聞きました。

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話している側としては「うまくいかなかった」という感覚が強く残っていましたが、一人の方にとって、認知症について考えるきっかけになっていたことを知り、救われました。

うまくいく日もあれば、そうでない日もあります。

次回からは、通常版に加えて、参加者の様子や時間に合わせて切り替えられる短縮版の台本を準備して臨みます。

Purple Angelの皆さん、セブで参加してくださった皆さん、ありがとうございました!!

認知症紙芝居、フィリピンの介護学校に導入決定!——導入校第1号

認知症紙芝居の、ケアワーカー養成学校への導入が決まりました!

フィリピンで4校の介護学校を運営するLifeline International Health Instituteが、認知症紙芝居を学校に導入することになりました。フィリピンでの導入校第1号です。

始まりは、学校のオーナーが認知症紙芝居のイベントに参加してくれたことからでした。それから、学校の講師陣が認知症紙芝居のオンラインコースを受講してくれました。

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そして、実際に講師の皆さんが授業でも認知症紙芝居を使ってくれるようになり、本格的に学校で導入して、日本式認知症紙芝居のコースとして展開してくれることになりました。

◆「伝える人」を育てる

来月は、Lifelineの各校を訪問して、認知症のイベントを開催します。そこで認知症紙芝居を行います。今回は私が紙芝居を行うのではなく、私の指導を受けたフィリピン人の講師陣が行います。

私が話す紙芝居は、外国人の私が英語で行うものなので、伝わりづらい部分があります。でも、フィリピン人講師陣が行えば、その土地の言葉で話せるので、より内容が伝わりやすくなるでしょう。こんな形で紙芝居を伝える人を育てていき、徐々に地元に根付かせていくのが理想です。

紙芝居の良さは、誰でも簡単に認知症を学ぶことができ、紙芝居を使えば誰でも認知症を教えられる人になれることです。

◆本当に困っている人に、届けたい

認知症の家族がいて本当に困っている人は、なかなか表に出てきません。どうしたらよいか、誰に相談したらよいかがわからずに、家庭の中で悶々と悩んでいます。

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だからこそ、地元の人が地元の言葉で語れることが大切です。そんな人たちにリーチできる可能性があるツールが、認知症紙芝居だと思います。

紙芝居の力を信じてくれたオーナー、そして一緒に学び、実践してくれた講師の皆さんに心から感謝です。

認知症のことで本当に困っている一人でも多くの人に届けられるように、これからもあの手この手で考えて、実行していきます。

「レクチャー」と「エンターテイメント」の中間に、紙芝居がハマる

以前は、5時間以上待たされた挙句に、30分の持ち時間がいきなり10分に短縮されたこともありました。

それが今では、メインイベントの1つに数えてもらえるようになりました。

紙芝居を使った認知症の啓発活動を始めて、もうすぐ2年になります。介護施設、病院、養成学校、大学、レストラン。いろいろな現場で実践してきて、聴衆は延べ1000人を超えました。アウェーの環境で信頼を勝ち取るには、やはり時間がかかります。

◆認知症イベントの「型」が見えてきた

この2年で、フィリピン国内の認知症関連イベントにたくさん参加してきました。おかげで、その「型」のようなものが見えてきました。

多くの国では、認知症は医療の分野から語られます。格式のあるイベントであればあるほど、名の知れたお医者さんが登壇し、きっちりとしたセミナーが組まれます。その合間にダンスやゲームが入り、もちろん軽食も加わります。

つまり構成要素は、専門家による「レクチャー」か、歌やダンスの「エンターテイメント」か。おおむねこの2極に分かれるのです。

けれど、認知症という話題はそもそも簡単ではありません。聴衆に合わせて難易度を調整しないと、話についていけなくなります。かといって歌やダンスは盛り上がりますが、それだけでは学びにはつながりません。

◆2極の「中間」を担う紙芝居

その2つの中間を担える存在が必要なのではないか。そのポジションにこそ、認知症紙芝居がハマるのではないか。そう考えるようになりました。

紙芝居は、聴衆との対話が命です。

難しい話をストーリーに変える。途中でクイズを出す。お客さんを指名して、意見を聞く。すると聴衆は「聴く人」から「参加する人」に変わります。

真面目に聴く時間は、お医者さんのレクチャー。私は、楽しく学べる、「レクチャー」と「エンターテイメント」の中間のポジションを狙います。

◆紙芝居がもつ「共感」の力

先日、もっと紙芝居を学ぼうと「紙芝居文化の会」に加入しました。会員特典のビデオで歴史や特徴を学んでいるのですが、その中で先生がこう言っていました。

紙芝居には「共感」を広げる力がある、と。

なるほど、紙芝居にはまだまだ私が知らない魅力が隠されていそうです。

日本の介護を世界に届けるコツは、日本の文化に包んで届けることだと思っています。

認知症紙芝居は、まだまだ進化できそうです。

言葉が通じない苦労が、認知症の人の気持ちを教えてくれる

日本就労を目指す候補者たちに、自己紹介の指導をしました。

事前に1分間の自己紹介を準備してもらいます。日本語で30秒、英語で30秒、合計1分間です。

彼女たちは家事代行の候補者です。介護や飲食業などの特定技能制度と違い、就労の条件として日本語能力は問われません。そのため、日本語力ゼロの状態で、自己紹介の日本語を丸暗記して面接に臨みます。

私は、彼女たちの自己紹介を聞いて、感想やアドバイスを伝えます。300人ほどの候補者が集まるため、ひとりひとりに時間はかけられませんが、数%でも合格の可能性を上げられるようにと心がけています。

「わたしはみぼうにん」

ある候補者が言いました。日本語の意味が分からず英語で尋ねると、「I am widowed.」という答えが返ってきました。ああ、「未亡人(みぼうにん)」のことですね。

日本語として間違いではないものの、自己紹介の場面では聞きなれない言葉です。自分なりに日本語を調べて暗記してきたのでしょう。その努力を称賛しつつ、より適切な言葉を伝えました。

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◆バングラデシュで、私が英語に逃げた話

以前は、日本語の発音や表現について、細かいところまでツッコミを入れていました。しかし、ある出来事をきっかけに、私は自分の考えを改めました。

介護講師としてバングラデシュに行った時のことです。

舞台上で自己紹介をしなければならない場面がありました。当然、母国語であるベンガル語を使えば聴衆に喜んでもらえます。

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そこで簡単な自己紹介のベンガル語を覚えようと思いましたが、すぐに断念しました。

緊張して暗記したことを忘れたらどうしよう、発音が悪くて伝わらなかったらどうしよう。そう考えると、安全策で英語を使った方が良いと思い直したのです。

そんな体験をしたからこそ、日本語を暗記して自己紹介に臨む彼女たちの姿が、私にはとても立派に思えるようになりました。

以来、日本語の細かいミスを訂正するよりも、「1分間をどう使って自分を表現するか」という全体を見て、感じたことを伝えるように指導方法を変えました。

◆面接で打ち切られる、あの絶望感

たまに、オンライン面接の場面で、日本人面接官の言っていることが理解できず、候補者が「あ、あ、……」とフリーズしてしまう場面に出くわします。

このとき、面接官が「もういいです。ありがとうございます。」と話を打ち切ることがあります。面接官も悪気があってのことではなく、日本語が伝わらないから話を切り上げたのでしょう。

しかし、会話を振られて考えている間に打ち切られる時の絶望感や虚無感は、自分が体験してみないとなかなか想像できないものだと思います。

案の定、話を打ち切られた候補者は、オンライン面接が終わったあと、虚ろな表情をしています。傍から見ていても気の毒になりました。

もし面接官に、言葉が通じずに困った経験があれば、対応の仕方も変わっていたのではないでしょうか。

◆困った体験が、認知症の人の気持ちにつながる

介護職にとって、相手の立場に立って物事を考える視点は大切です。私は、日本語がよく分からずに苦労している介護候補者には、こう伝えるようにしています。

「自分の想いが伝わらず困っている、認知症の人の気持ちが理解できるようになったね」

自分が困った体験、苦労した体験を積んだことで得られる大切な視点があると思います。新しい世界にチャレンジする彼女たちには、その機会があります。

今は大変でも、介護職として成長する糧にしてほしいと願っています。

豪雨とメガネ屋と紙芝居——フィリピンの認知症イベント奮闘記

本日、フィリピンで認知症イベントが開催されました。

直前まで会場が決まらなかったようですが、最終的にはバスケットコートのある体育館になりました。屋根付きではありましたが、一部で雨漏りがあり、おじさん達がモップでせっせと床を拭いていました。

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あいにく台風が近づいており、マイクの音をかき消すほどの豪雨の中、1時間遅れでイベントが始まりました。

会場では、なぜかメガネ屋が出店しており、50%引きでメガネを売っていました。

「認知症と何か関連があるのですか?」

売り子さんに聞いてみましたが、結局よくわからず、謎に包まれたままです。

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◆音響トラブルと豪雨のなかで

さて、開会のあいさつのあと、お医者さんによる「Brain Health and Dementia Prevention(脳の健康と認知症予防)」のレクチャーがありました。

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案の定、音響トラブルが発生し、マイクが全然機能していません。外は豪雨です。一生懸命話しているのに聞こえず、気の毒になりました。

しばらくしたら、自分も同じ目に遭うのか……。

そう思うと、まったく他人事ではありません。幸い、途中から音響が復活してくれたので助かりました。

広い体育館。外は豪雨。聴衆は地元の人々。

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このシチュエーションでプレゼンをするのは、なかなかの難易度です。小さい子供もいれば、高齢者のグループもいます。30分間、彼らの関心をひきつけ続けるのは至難の業です。

◆苦い経験が、血肉になっていた

とはいえ、私もそれなりに修羅場を潜り抜けてきました。こういう状況を想定して、景品のお菓子を多めに用意したのです。

クイズとお菓子で関心をひきつけつつ、その合間に認知症ケアの大切なエッセンスを組み込んでいく。それでも後半は聴衆の集中力が切れてきたので、話を省略して切り上げました。

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以前の自分なら、時間調整も関心を保つ術も知らず、ステージ上でピエロになっていたと思います。苦い経験がしっかり血肉になっていることを、実感しました。

◆一人の観客との出会い

パフォーマンスのあと、一人の観客が近づいてきました。

「すごく分かりやすくてよかった!プレゼンの写真を使ってもいいですか?」

田舎にいる家族に、今日の話を伝えたいのだそうです。その田舎では、高齢者への虐待もあるといいます。

彼はNational Commission of Senior Citizens(国家高齢者委員会/日本でいう厚労省の高齢者部門にあたる政府機関)で働いており、だからこそ認知症教育の必要性を肌で感じていたのでしょう。

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認知症紙芝居のオンラインプログラムも行っていると伝えると、同僚と受講できるよう上司に話をしてくれるとのことでした。

こんな感じで、一人でも誰かの心に響いたのなら大成功です。泥臭くも、着実に、日本の介護を世界に届けていきます。

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