海外介護

介護合宿が問うこと——「どの山を目指すか」が、その人の介護を決める

どの山を目指すか

人は「どの山を目指すか」で、その後の道筋の大方は決まる。

出国という節目を迎えた外国人ケアワーカーたちに、改めてそう問いかけたくて、この介護合宿を企画しました。

参加者はオンラインクラスの受講生たち。いよいよ出国というタイミングで開催した、最後の仕上げです。

オンラインから合宿へとつなげることの強みは、すでに関係性ができていること。私が介護に対してどのような世界観を持っているか、ある程度は伝わっている状態です。

その世界観を、今度は「身体性を通して学ぶ」のが、この合宿の真髄でした。

「普通の介護研修」とは、ほど遠いプログラム

今回のプログラムは、通常の介護研修のイメージから大きく外れたものでした。

  • ローカルの大衆食堂でランチをした後、超高級ホテルのラウンジでお茶をする

  • 高齢者施設での実習では、介護をせず、みんなで寿司を作る

  • 一流の「触れ方(手当て)」とは何かを、プロの鍼灸指圧師の先生から学ぶ

なぜ、こんなプログラムなのか。

介護とは日常生活支援であり、人の日常は多様です。自分の常識の範囲だけで介護を提供すると、受け手にとって窮屈な生活になります。だからこそ、相手の立場に立って考える「思考の癖」を身体で覚えてほしかった。

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鍼灸指圧師の先生と受講生たち

介護は、ある意味で一流ホテルより難しい

介護もまた、接客業です。

大衆食堂のおばちゃんのような気さくな接客もあれば、一流ホテルのような洗練された接客もある。しかしそれは、実際に自分が体験してみなければ、想像力は働きません。

介護は、一流ホテルよりも難しい場面があります。なぜなら、顧客との距離が圧倒的に近いからです。

特に認知症のある方は、その日の状態によって求める距離感が変わります。気さくさを求めているときもあれば、丁寧で洗練された関わりを求めているときもある。その「機微」をすっと察知できるようになったとき、その人は指名されるケアワーカーになるでしょう。

介護福祉士は、ゴールではなく通過点

多くの外国人ケアワーカーにとって、日本で働くこと自体がゴールです。そこへ辿り着くまでの道のりだけでも、完結したドラマがある。

しかし、人生の新しい章を迎えるにあたり、次のゴールを描いてほしいと思っています。

介護先進国・日本を選んで働くのだから、ぜひ介護のプロフェッショナルを目指してほしい。介護福祉士はただの通過点です。その先で、自分の興味・関心と「介護」を掛け合わせながら、自分だけの新しい道を切り開いていってほしい。

そんな願いを込めて、彼女たちを送り出しました。