海外介護

日本の介護を世界に届ける人たち

約2ヶ月に及ぶ入国前介護オンライン研修が、もうすぐ終了します。

入国前ということもあり、受講生たちはモチベーションも吸収力も高い状態にあります。日本の介護の理念や、専門職として押さえておくべき考え方、そして認知症ケアについても、意欲的に学び続けています。

私自身も、外国人介護労働者としてアメリカやフィリピンで働いてきました。その経験があるからこそ、海外に出る前のこの時期に、学習へのモチベーションが高まることをよく理解しています。

教育は、一方通行ではうまくいきません。

相手が求めているタイミングで、どれだけ質の高い教育を提供できるかが重要です。求めていない人に、いくら良質な教育を提供しても身につかないものです。自分自身も、そうでした。

その意味で、入国前という最も意欲が高まっている時期に教育を行うことは、とても重要だと感じています。

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今回のオンライン研修では、課外活動として「認知症紙芝居」を使った啓発活動を行っています。受講生には、身近な人に認知症紙芝居を実演し、その様子を動画で送ってもらうようにしています。

オンライン教育のため、私自身が現地で直接見ることはできません。しかし送られてくる動画を見ていると、彼らの日常生活の断片が垣間見え、とても興味深く感じます。

紙芝居の途中で猫が画面に入ってきたり、遠くからコケコッコーという鶏の声が聞こえてきたりと、臨場感のある場面もありました。また、誰をリスナーに選んで紙芝居を聞いてもらうのかによって、その人の個性も見えてきます。

ただ、共通して感じることがあります。

それは、「日本の介護を学びたい」という向上心です。

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私は受講生たちに、いつもこう伝えています。

「介護福祉士はゴールではなく、通過点である」と。

日本でプロの介護職を目指すのであれば、介護福祉士の資格を取得することは当然のことです。しかし、本当に問われるのは、その国家資格を取得した後に、どのような専門性を磨いていくのかだと思います。

実際、受講生たちの将来の夢を聞いていると、

「認知症ケアのトレーナーになりたい」

「介護の講師になりたい」

という声をよく耳にします。

現場で学んだことを、次は自分が誰かに伝えたい。そうした思いが、彼らの中に生まれているのだと思います。

その意味で、認知症紙芝居はとても便利なツールです。学んだ次の日から、誰かに伝えることができるからです。

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私は、日本の介護を世界に届けるのは、日本人ではなく、日本で介護を学んだ外国人労働者なのではないかと思っています。もちろん、それは彼らが日本人より優れているという意味ではありません。役割が違うのです。

本物の介護の技術や理念、そして概念を作り上げているのは、日本の現場で日々淡々と利用者の暮らしを支えている「介護職人」だと思います。しかし、その思想や価値観を世界に広げていくためには、また別の能力が必要です。

自国を離れ、外国語を学び、新しい文化の中で働いている外国人ケアワーカーたちは、日本の介護を伝える「メッセンジャー」として、とても適した存在だと思います。

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認知症紙芝居というツールを使うことで、彼らは日本に入国する前から、日本の介護を伝える役割を担い始めています。

楽しそうに日本式の認知症ケアを語る彼らの姿を見ていると、日本の介護を世界に届ける準備が、少しずつ整ってきているのではないかと感じています。