認知症紙芝居が、アジアの国際学会で賞をいただきました。
フィリピン・マニラで開催された「第20回アジア認知症学会(ASAD)国際会議」で、認知症紙芝居の普及活動についてポスター発表を行いました。
ASADは、アジア各国の認知症の医師や研究者が集まる国際学会で、2007年から毎年アジア各地で開催されています。これまでに日本(2015年・熊本)、韓国、中国、タイ、インド、オーストラリアなどで開かれ、前回のソウル大会には27か国から1,000人以上が参加しました。
今回の大会では、ポスター発表を対象に、発表者同士の投票によるコンテストが行われ、私の発表がBest e-Poster(Voted Best e-Poster by fellow authors)に選ばれました。

医学研究の発表が並ぶ中で、介護の現場から生まれた実践が、アジア各国の医師や研究者の皆さんに選んでいただけたことを、とても嬉しく思います。
発表したのは、紙芝居の受講生が「どこで、誰に」紙芝居を演じたのかをまとめた実践報告です。
認知症は誰にとってもジブンゴト。
だからこそ、身近な大切な人に伝えてほしい。それが認知症紙芝居の核であり、このメッセージを学会で発表したいと思い、取り組んできました。
◆「ドクター、ドクター」と呼ばれて
さて、医学系国際学会は初参加ですので、かなり気合を入れて臨みました。
事前に事務局にお願いをして、紙芝居の実演とアシスタントスタッフ2名の来場の許可をいただきました。前日には会場の下見をし、作戦を練りました。こんなことができるのも、地元マニラならではの地の利です。
当日、私とアシスタント2名で会場入り。
製薬会社や保険会社のブースが立ち並ぶ部屋に入ると、「ドクター、ドクター」と声を掛けられます。私たちは、医者でもなければ、研究者でもありません。ケアギバーです。場違いな感じは否めず、3人で顔を見合わせて苦笑しました。

◆インパクトで勝負する
メインのカンファレンスは大広間で行われ、ポスター発表はその外の踊り場で行われます。医者や研究者が行き来するこの場で、正直、紙芝居のセッティングをしてもよいのだろうかと不安はありました。事務局の許可を得ていたとはいえ、です。
それでも、せっかくエントリーしたのだから、出すからには受賞したい。
そのためにはインパクトが必要です。脳画像やバイオマーカーなど医学研究の発表が並ぶ中、紙芝居のデモンストレーションは確かにインパクトがありました。
事前にプレゼンや質疑応答の準備をかなりしましたが、結局は行き交う人たちと個別に対応することになり、準備したプレゼンはほとんど使いませんでした。
しかし、3人体制で臨んだため、来場者に上手に対応できました。おそらくポスター発表に3人体制で臨んだのは、私たちだけだったと思います。



◆介護職が、この場に立つ意味
発表が終わり、その後はメイン会場で、研究者の学術発表を聞きました。ほとんど内容は理解できません。おそらく日本語だったとしても理解できなかったでしょう。
介護職が国際学会の舞台に立つには、この中で戦わなければならないのかと、改めて目指すゴールがいかに遠いかを思い知り、愕然としました。
ほとんど何を言っているのか分からないまま聞いていると、時折「ケアギバー」という言葉が聞こえてきます。

スライドを見てみると、介護職の負担軽減のため、とか、介護職も含めた○○だとか、が出てきていました。内容はよく分かりませんが、介護職について何かを話していたのでしょう。
介護職のことが議論されているのに、その場に介護職はほとんどいない。
だからこそ、介護職が背伸びをしてでも、この場に立つ意味があるのではないかと感じました。
◆舞台に上がれた、大きな一歩
そして、いよいよ閉会式です。
ポスター発表の受賞者がアナウンスされます。ポスター発表は2日間だったので、それぞれの日程から1名ずつ選ばれました。
ありがたいことに、2日目のポスター発表の中でのベストポスター賞を受賞しました。
舞台上で発表はできませんでしたが、舞台に上がることはできました。研究についてはまったくの素人が手探りで取り組み、舞台に立てただけでも、私にとっては大きな一歩です。


一緒に会場に立ってくれたアシスタントの2人、そしてこの紙芝居を生み出した、きらめき介護塾と、きらめきファミリーに、心から感謝しています。
受賞はとても嬉しいのですが、それまでのプロセスを通して学んだこと、経験したことが一番の報酬です。次は口頭発表を目指して頑張ります。

