■Sushi クッキング
認知症紙芝居に次ぐ、2本目の介護イベントの柱を育てています。その筆頭が、Sushiクッキングです。
寿司が海外でウケるのは、もはや周知の事実。しかも、日本人が寿司をつくる。それだけでイベント価値は、確実に跳ね上がります。
実は私、アメリカで寿司職人のアシスタントをしていた経験があります。メキシコ人と一緒に、ロール寿司を巻いて、巻いて、磨いたスキルは、今も健在です。この経験とスキルを、再利用しない手はありません。
課題はひとつ。寿司づくりに、どうやって「介護の学び」と「エンタメ」を結びつけるか、です。
■ エンタメをデザインする
認知症紙芝居では木枠を購入し、「物語を聞く」というエンタメ要素を加えることでブレークスルーしました。その成功?に味をしめた私は、メルカリで木製の舟盛を購入しました。
商品の説明には、「昭和50年代にかっぱ橋で入手した」とありました。
いい。古ければ古いほど、日本文化としての価値があります。苦労してフィリピンまで運びました。

■SNS時代のポイント
舟盛の購入にはもう1つ理由がありました。海外で寿司イベントをやるたび、ずっと不満だったのが「食器」です。せっかく上手に作った寿司を引き立てる器がない。とはいえ、毎回食器を持ち運ぶのも現実的ではありません。
その点、舟盛のように、“ひとつで象徴になる器”があれば、イベントとして一気に締まります。しかも、写真映えもします。SNS時代の今、写真ポイントの設計もイベントデザインの一部です。
案の定、舟盛に乗せた寿司は大人気。多くの参加者が写真を撮ってくれました。

■ 学びをデザインする
次は、介護の学びをどう組み込むかです。
先日、地域のお年寄りを招いてSushiクッキングを開催しました。認知症紙芝居の後、そのまま寿司のデモンストレーションへと移行しました。
そこで、ひとつ閃いたのです。
前方の観客に、ロール寿司の中身を選んでもらうことにしたのです。アボカド、かにかま、キュウリ、マンゴー、スパム、薄焼き卵。そこから「食べたいもの」を選んでもらいました。
その選んだ材料で寿司を作り、食べてもらう。すると、予想以上に喜んでもらえました。
なるほど、「選ぶ」という行為だけでも、人は能動的に関われる。そう気づいた瞬間でした。

■ 自己選択・自己決定
私が日本でヘルパーをしていた頃、寝たきりの利用者さんに頼まれて、コンビニやデパートで買い物をすることがありました。
その時、私は売り場にあるすべての商品の写真を撮り、それを送って、本人に選んでもらっていました。
本当は、本人が自分で外に出て選ぶのが一番です。それが叶わない場合でも、「介護職が選ぶ」のではなく、本人が選べる環境を整えることで、その人の自律は支えられます。
自己選択・自己決定は、日本の介護が大切にしてきた理念です。
ロール寿司づくりには、実はたくさんの「選択肢」が用意できます。
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材料の選択。
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内巻きか外巻きか。
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細巻きか太巻きか。
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今食べるか、持ち帰るか。
これらを「本人に選んでもらう」ことが、尊厳を支える介護につながる。Sushiクッキングから、その大切な学びが伝えられるのではないかと、新しい発見がありました。

■ 学びとエンタメを、日本文化で包む
海外で日本の介護を伝えていく、私の基本戦略は、「学びとエンタメを、日本文化で包むこと」です。
この方程式にのっとって介護のネタを探せば、まだまだ、いろいろな組み合わせができるはずです。
うまくいくかどうかは、現場が教えてくれます。引き続き、現場で“日本の介護をどう届けるか”を考え続けていきます。

