「課題先進国」から「課題解決先進国」へ──SAPが構想するこれからの日本の立ち位置、https://wired.jp/2018/11/19/sap_technology-for-japan-ws/
こちらの記事がとても面白かったです。下記太字で抜粋します。
「少子高齢化をはじめとして日本は非常に多くの課題を抱えていますよね。『課題先進国』なんていう言葉もありますが、今後ほかの先進国も直面するであろう問題にいち早く取り組まなければいけないのが日本だと考えられています」
確かに、日本は少子高齢化問題、経済の長期的低迷、雇用の変化、国債残高の増大、格差の拡大などなど、多くの課題を抱えています。しかし、これらの課題は日本だけのものではなく、他のアジア諸国、中国や工業化が進み経済成長を遂げた、韓国、台湾などの国もいずれは日本と同じ問題に突き当たることになります。そこで、こうした課題を一番最初に解決しなくてはならない日本は、『課題解決先進国』になれるチャンスも秘めていると言われています。
日本人はこれまで平均的にみんなの能力が高いという『平均力』で戦ってきました。高度経済成長期にはこの力がうまく機能して、ビジネスや社会システムを1から100に成長させてきた。でも、みんなが平均的にできることはいわばパターン化できるわけで、その多くは今後AIにとって代わられる部分も多くなるんじゃないかと思っています。これからは平均力だけではなく0から1をつくれる人を増やさないといけないわけです。
0から1を創り出す、つまり、事業開発能力を磨くことは、これからの時代ますます重要になってきますね。私がポスト平成のリーダーとして日本に大きな影響力を与えるであろうと注目している若手オピニオンリーダー、落合陽一さんも、番組の中で同様な発言がありました。視聴者から『文系の人がこれからの時代を生きる上で必要な能力は何ですか?』との質問に対して、『Business Development(事業開発)能力は大切ですよ』とのこと。いろいろな引出しを持っていて、事業開発のロードマップが描ける力は必要だと言ってました。まさに課題先進国の日本にとって、社会問題を解決するためにも新しい事業を創り出すことは重要だと、落合さんの話を聞いていて深くうなずきました。
(現代の魔法使いと言われている落合陽一さん)
ではそのような能力を身に付けるにはどうしたらよいのでしょうか。先日、友人で20年以上看護師として働いていた女性からの何気ない話の中にヒントがありました。
彼女は昨年、長く勤めていた病院を辞めました。そして現在は『自分は何がやりたいのか』を模索しつつ、今まで時間が無くて出来なかった様々なことにチャレンジしています。その彼女が『看護師というポジションから離れて、自分の立ち位置を変えたとき、新しい世界が広がった』と、そして『これからはいろいろな立ち位置で新しい世界を見ていきたい』と言っていました。
確かに、同じ職場、同じ業界に長くいるとどうしても視野が狭くなってしまいます。周りには自分と同じような考えの人が多くなるからです。そこで、環境をがらりと変えてしまうことで、新しい世界が広がり、いろいろな視点から新しい世界を広げていきたい、という彼女の発言は面白いなと思いました。
(ポジションを変えると見えてくる新しい世界)
私にとって、事業開発とは料理のようなものだと考えています。まずは食材を集めるために外に出ます。そこで人と出会い、その人との会話の中からいろいろな食材を集めたり引き出したりします。まるで、ハイキングをしに山に出かけて、そこで山菜や魚や木の実を集めるような感じです。
(事業開発のためのアイデアの材料)
それらの材料と、自分が漠然と描いている料理のイメージとがまじりあった時、新しい事業アイデアが生まれてきます。前回のブログでも書きましたが、私は介護業界を離れてこの7年間は様々な業界や職種の方々と親睦を深めてきました。おかげさまで、料理の材料はふんだんに揃い、その中から昨年いくつかの事業計画を立て、〝ハイキング〟で出会った仲間と共に進めています。事業開発のためには、まず人との出会いのすそ野を広げておくのことが、何よりも大切なことだと感じています。
(仲間と共にロードマップを歩んでいく)
さて、2025年には大阪万博が開催されます。
その時に、課題先進国の日本が世界に向けて、どのような課題解決を示せるか、重要な試金石になるかと思います。介護業界に携わる私たちの役割は、新しいテクノロジーの開発や新しい制度を生み出すことではなく、現場から課題を抽出して、新しいテクノロジーや制度をうまく取り入れること、そして、様々な業界の方々とスクラムを組んで、課題解決に取り組むことだ思います。介護業界にとっても本当に面白い時代がやってきました。
大阪万博まであと6年。介護業界から日本が世界に影響力を持てるよう、このチャンスを精一杯活かしていきます!